自賠責保険制度について

医療照会のいろいろ(交通事故・自賠責保険)

2025-06-23

自賠責保険に異議申立申請をすると、
医療照会」というものが入ります。

これは、自賠責損害調査事務所という「後遺障害等級審査機関」が、
本件で被害者が通院をした「すべての医療機関・整形外科」に照会をかけます。
※接骨院は除きます。

この医療照会はパターンがありまして、頚椎捻挫・腰椎捻挫事案について、
弊所で経験をしたものを3つご紹介いたします。

1.原則的な医療照会パターン

各医療機関・整形外科に、
(A)頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について(A4書式)
(B)神経的所見所見の推移について(A3書式)
という2つの書類によって、医療照会を行うパターンです。
これが原則です。

2.診療録のコピーを送るパターン

これは、各医療機関・整形外科で保管している診療録(いわゆる「カルテ」)開示のパターンです。
この照会は、すでにある診療録をコピーして送るだけ、ですが、
難点があるように考えます。
詳細を知りたいかたは、ご依頼後にこっそり教えます。

3.医療照会なしパターン

このパターンは珍しいパターンです。
例外といってもよいと思います。
弊所で経験した「医療照会なし」パターンの事案は、
無事に、非該当から14級認定に至りましたが、
医療照会をしないで”ばっさり”と非該当判断という事案もあるように察します。

上記のように、交通事故の内容もいろいろで、同じものはないですが、
自賠責保険請求後の自賠責側の対応や審査もいろいろです。

弊所では、あまり先読みし過ぎず、
相手方の反応などをみて柔軟に、迅速に対応をすることも”時には”必要であると考えます。

交通事故による自賠責保険請求(後遺障害部分)にお困りの方は、
行政書士事務所インシデントまでご相談・ご依頼ください。

完治は目指さず、痛みと付き合う(交通事故・後遺障害)

2025-06-19

交通事故後の怪我は、たとえ後遺障害等級の認定に至らない怪我・症状であっても、
完治に至ることは少ないようです。

完治を目標としてしまうと、
精神的に疲弊してしまったり、自分で自分を追い詰めてしまったりする被害者もいるので、
注意をしていただきたいと思います。

加えて、完治を強く目指す被害者は、「ドクターショッピング」といって、
良い先生、良い治療、完全に治してくれる病院を探し回る状態に陥る被害者もおり、
これは、後遺障害等級認定の観点からみても悪い状態です。

少し私の話をいたしますと、
私自身、高校3年生の時に、交通事故ではありませんが、
膝の怪我(診断名としてはおそらく「膝蓋骨骨折」)をしまして、手術を受けた過去があります。

いまだに完治に至りません。

痛みは常にありますし、時折、階段の昇り降り時に痛みが増します。
(※手術直後の当時は階段の昇降が本当に恐かったため、
駅などの階段はいまだに手すりがある側を選んで歩いています。)

しかし、私の場合は、正座や胡坐、歩行、ランニングなどは”ある程度”支障がなくできますので、
それで良しとしています。

交通事故の怪我の治療・通院は、
(A)損害賠償請求のための通院

(B)身体の回復のための通院
を分けて考える必要があります。

診療報酬明細書も重要です(交通事故・自賠責保険)

2025-06-17

自賠責保険の後遺障害等級の審査をする際、
(1)自賠責書式 診断書
(2)自賠責書式 後遺障害診断書
に記載されている医学的所見を基礎に審査が進められます。

これら診断書などに加えて「自賠責書式 診療報酬明細書」の情報も重要なため、
自賠責保険の被害者請求に、必要な書類です。

この診療報酬明細書には、
・受傷日、初診日、診療期間などの情報
・その月の通院日、通院日数の合計
・診断名
診療内容
・その月の診療報酬請求額の合計と内訳
などが細かく記載されています。

後遺障害等級審査の際は、
どんな治療をしたか」という「診療内容」も当然に審査対象になりますので、
診療報酬明細書の情報はとても重要です。

診療報酬明細書は、交通事故の相手方に損保会社があれば(=任意一括対応がある場合)、
相手方損保会社が、直接、医療機関とのやりとりをするため、
タイミングをみて、相手方損保会社に依頼をすれば、取得することができます。

しかし、交通事故の怪我で健康保険を適用した場合には、
「自賠責書式 診療報酬明細書」の取得ができないことがあり、
この場合は、医療機関発行の「診療明細書」で代替することがあります。

現在、交通事故の怪我で、健康保険適用で通院している方は、
医療機関発行の「診療明細書」を大切に保管してください。

自賠責保険の後遺障害認定の難しさ(交通事故)

2025-06-17

自賠責保険の後遺障害等級認定は本当に難しいです。

弊所が考える難しい理由は複数ありますが、主要なもの3つご案内いたします。

1.通院期間の長さと通院回数の多さ

弊所で多くお手伝いする頚椎捻挫(=むちうち)に関する後遺障害等級認定のためには、
事故日(治療開始日)から6ヶ月超の治療期間
週3回・整形外科
というルールがあります。

6ヶ月間超の治療期間というのは、必須のルールなので、しかたがないにしても、
ここをクリアしないと「認定されるものもされない」されません。

ご相談時に、6ヶ月の治療期間と聞いて、弊所への依頼を断念されるご相談者もおります。

そして、週3回・整形外科という点も大変に厳しいルールです。
整形外科の診療時間は9時~12時、15時~18時というのが多く、
会社勤めの方など時間の拘束があるかたには本当に厳しいルールです。
加えて、この整形外科の診療時間内に週3回の通院は、追い打ちをかけるように厳しいルールです。

2.後遺障害診断書に記載すべきことが曖昧である

6ヶ月間超、週3回の整形外科の通院をクリアし、
いざ症状固定・後遺障害診断書作成の段階になったとき、
後遺障害診断書に、
・なにを
・どのように
書いてもらえばわからない、という状況に陥ります。

自賠責保険などの保険会社のホームページにも記載すべきことの正式な手引きはありません。

たしかにネット情報では、
”ある程度”後遺障害診断書に記載すべき医学的所見の案内がありますが、
それはそれで、その人の成功例です。

患者様ごとに、後遺障害診断書に、
・書くべきこと
・書くべきではないこと
があります。

3.審査が書面審査である

自賠責保険の後遺障害等級審査は「書面審査」が原則です。
書面でのみ判断されるため、
患者様の実際の症状やその症状で困っていることが、
後遺障害等級に反映されないことが多いです。

これは本当に苦しい、悔しい。

一方、労災保険の後遺障害等級審査は、
申請後、労災顧問医の審査(診察)が指定日に入りますので、
実際の症状と後遺障害等級とが噛み合うことが多いです。

自賠責保険の後遺障害等級審査も、申請後、医師の診察をして欲しいところです。

まとめ

上記のように、自賠責保険の後遺障害等級認定を勝ち取るには、
1.通院
2.後遺障害診断書への正しい記載
3.自賠責保険の書面審査
というの3つのルールを意識して、一つ一つクリアしていかなければなりません。

3つのルールをクリアすることは本当にツラく、長い闘いなります。

この闘いに真剣に向き合って、どんな解決でも納得するという覚悟も必要です。

陳述書は不要です(交通事故・自賠責保険)

2025-06-16

自賠責保険の後遺障害等級申請の際、
・陳述書
・意見書
の添付は有効で必要か?という問いに対しては、
弊所の見解は「不要」とお答えしています。

陳述書や意見書は、あくまで「気持ちの主張」に留まります。

実際の後遺障害等級認定通知書の認定理由に、
陳述書や意見書の中で主張したことが採用されて、
認定または非該当となった事案は弊所でみたことがありません。

自賠責保険の後遺障害等級審査という土俵では、
(1)診断書
(2)後遺障害診断書
の医学的所見を基礎として、審査がされ等級の評価がなされます。

後遺障害等級が認定されるまで(交通事故・自賠責保険)

2025-06-10

弊所が、自賠責保険の被害者請求を行う場合に、
ご依頼者に案内する「請求から審査結果が届くまで」の目安期間としては、

(A)初回申請の場合:2ヶ月

(B)異議申立申請の場合:3ヶ月超

と案内することが多いです。

2020年以降は、
(1)新型コロナ禍によるリモートワークの推奨・定着化
(2)普通郵便が遅い
(3)そもそも審査スピードが下がった
ことから、ご依頼者には長めに案内をして、審査結果が届くのをお待ちいただいております。

そして、自賠責保険の被害者請求の審査は、
長く待ったからといって「認定」とは限りません

一方、1ヶ月未満の審査期間の場合は「非該当」というネット情報もありますが、
全てが「非該当」ではありません。
弊所ご依頼者の中にも、請求から1ヶ月未満で「認定」を得たかたはおります。

弊所のアドバイスとしては、
被害者請求後は、”静かに進捗や審査結果を待つ”ということも、
認定を勝ち取るためのポイントであると考えております。

自賠責保険会社や自賠責損害調査事務所に、
頻繁に、定期的に進捗確認をするようなことはおススメしていません。

損害賠償請求の難しいところ(交通事故・自賠責保険)

2025-06-10

後遺障害等級認定率100%はありえません

士業の仕事分野はいろいろあり、簡単な仕事はありません。

弊所の主たる業務である交通事故>自賠責保険>後遺障害等級申請業務
については、申請すれば絶対に認定されるものでありません

そして、弁護士の領域である、
交通事故>損害賠償請求>示談金の受け取り
についても、損害賠償請求すればその請求金額をそのまま受け取れるわけではありません

もう少し言い換えれば、
「請求することはできるけど、実際に支払を受けられるとは限らない」ということです。

めちゃくちゃな請求はできません

そもそも、交通事故の損害賠償請求は、
損害項目があって、
損害の計算式があって、
となりますので、上限なしで請求できる仕組みとはなっていません。
つまり、法外で過大な請求が認められることはありません。

そして、先述のように、自賠責保険の後遺障害等級申請は、
申請すれば、後遺障害等級が認定されるわけではありません。
適切な症状固定日があって、
適切な通院先があって、
適切な通院回数があって、
適切な後遺障害診断書の記載をもらって、
と、事故から6ヶ月超にわたる、仕込みや下準備があります。

しかし、酷なことに、ご依頼者や主治医先生に丁寧で根気ある仕込みをしていただいても、
後遺障害等級認定に届かないこともあります。

結果は大事。しかし、その過程もたいせつにしたい

弊所では、自賠責保険の後遺障害等級認定を、”一か八か”の博打要素ある業務にしたくはないと考えております。

たしかに、後遺障害等級を受けたか、受けられなかったかの結果がすべてですが、
その結果に至るまでの過程も大事にしたいと考えております。

この過程を大事にする姿勢の例としては、
(A)進捗を定期的に丁寧に案内する
(B)症状固定日など重要なポイントでは診察などに同行する
(C)後遺障害診断書の記載内容についてはしっかり確認して最善のものを用意する
というところです。

小さいかもしれないけれど、この姿勢を大事にすることで、
ご依頼者にはいかなる結果も納得していただけれるように感じます。

結果に納得できるように、適切で最善の過程も目指す。

この点を弊所では大切にしたいと考えております。

交通事故関連の書類は大切に保管(自賠責保険・後遺障害)

2025-05-31

交通事故後に取得した書類は、大切に保管をしましょう。

中でも、
(A)診断書
(B)医療機関から取得した領収証
(C)医療機関から取得した診療明細書
の3点は重要な書類です。

(A)診断書と(B)医療機関から取得した領収証の2点は基本的に保管されていますが、
(C)の医療機関から取得した診療明細書も重要な書類です。

理由としては、
自賠責保険の、
・傷害部分
・後遺障害部分
の被害者請求の時ともに、
医療機関でどのような診療行為を受けたのか?も審査の対象になるからです。

「いつ、どのくらい通院をしたか?」

「どのような治療を受けたのか?」
の証明が重要です。

交通事故の被害者?加害者?(自賠責保険・後遺障害)

2025-05-30

弊所では加害者のサポートもいたします

弊所は、創業当初から現在まで、
交通事故に関する自賠責保険の被害者請求による、
後遺障害等級申請・認定サポートの業務を行って参りました。

自賠責保険の「被害者」請求ということは、
行政書士事務所インシデントは被害者専門なのか?というと、
そうでもありません。

加害者だけど被害者?

交通事故の当事者の分類は、少々わかりづらくなるときもあり、
加害者だけど被害者」という事案があります。

たとえば、高速道路や一般車道で、
無理な進路変更をした”ことにより、
追突された
車両の運転手が、
この場合は加害者扱い(過失が大きい側の当事者)となりますが、
追突された側でもありますので、
頚椎捻挫・腰椎捻挫を受傷することがあります。

このような場合は、先述の「加害者だけど被害者」でもありますので、
その交通事故で受傷した場合には、
怪我の治療をすべきですし、
症状の残存具合によっては後遺障害等級申請・認定もありますので、
最適な治療や補償を受けるべき事案であると弊所では考えます。

適切な補償を受けることは大切なことです

しかし、実際のところは、
加害者が損害の補償を受けるべきではない
相手方の保険に後遺障害等級申請なんて、”はしたない”
という日本人特有の「遠慮」「慎み」の感情が湧いてしまい、
あきらめてしまうケースもあるように感じます。

こういった、遠慮や慎みの感性をもつ日本人は美しいと思います。

しかし、自分の過失が大きい加害者事故事案であっても、
怪我が重症であれば、将来の怪我に関する補償をもらわなければ後悔します

行政書士事務所インシデントでは、
加害者だけど被害者」となってしまった交通事故事案についても強い事務所です。

交通事故の加害者案件の当事者となってしまったかたは、
弊所までご相談ください。

医療照会の回答文書作成完了(交通事故・自賠責保険)

2025-05-27

先日、弊所ご依頼者の医療照会の文書作成が完了いたしました。
(※実際の作成は医療機関の主治医先生です。)

主治医先生の医療照会文書作成⇔弊所の記載内容の確認
のやりとりを複数回繰り返し、
ご依頼者にとって、最善の医療照会の回答文書ができたように考えます。

こういったやりとりは、弊所としては当然のことですが、
交通事故の損害賠償請求事案は、
やはり医療機関の主治医先生と事務局の協力と理解を得ることがとても重要だと気づかされます。

弊所としては、この医療機関側のたくさんの協力の気持ちに応えるべく、
その都度、医療機関を訪問して、
主治医先生と直接、顔を合わせて、医療照会文書の記載について、
あ~でもない、
こ~でもない、
ここの記載はこういう記載にしてほしい、
などと調整や依頼をすることが大事であると考えます。

電話一本、メール一本で、
好き勝手に、ここの記載はこう直せ…と依頼するのは簡単で効率的ですが、
弊所ではそういった態度や姿勢で交通事故業務はやりたくないな、と考えております。

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