後遺障害等級認定の最低条件
(1)整形外科へ6カ月以上通院していること
後遺障害等級認定申請は、事故から6ヶ月以上の治療期間を経過した後に申請することが一般的です。
しかしながら、
(A)頭部外傷後の高次脳機能障害
(B)複合性局所性疼痛症候群(CRPS)
(C)非器質性の精神障害(PTSD)
を主として、医師の診断名やお客様の症状によっては、事故から1年以上又は治療開始から1年以上の治療が必要となることがあります。
(2)治療中4週間以上の中断がないこと
後遺障害等級認定上、整形外科などの医療機関に通院することが重要です。
しかし、お仕事や学業でお忙しい方は、整形外科の診療時間内に受診することが困難な場合もあります。
その場合には、接骨院に併用通院することにより、症状の緩和と通院・症状の一貫性を確保することができるため有効です。
ただし、接骨院への通院は、主治医と損保会社の同意を得ておくことが大切です。
※ 医師によっては、接骨院での治療を認めず、接骨院への通院をするなら、後遺障害診断書は作成しないというケースもあります。
重要なのは、
- 整形外科などの医療機関に6ヶ月以上通院し、かつ
- 治療中に4週間以上の通院中断がないこと
です。
つまり、1ヶ月に1回行けば良いという計算になりますが、これでも少ないのが実情です。
弊所で多くお手伝いしております頚椎捻挫・腰椎捻挫については、症状固定時(約6〜7ヶ月)に、実通院日数”約80日〜90日”を目安とご提案しております。
ただし、お客様のお仕事や学業から加味し、上記のような整形外科への通院が困難な場合は、弊所がより最適な通院方法についてご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
また、現在の整形外科に不満がございましたら、弊所の連携医療機関をご紹介することも可能です。
後遺障害等級認定の要件
むち打ち症に限らず、後遺障害等級の認定には、以下の3つの要件をそろえることが重要です。
- 自覚症状があること
- 自覚症状を裏付ける画像所見があること
- 自覚症状を裏付ける神経学的所見があること
画像所見について
他覚所見のうち、この画像所見の有無が、大変重要になってきます。簡単に申し上げれば、レントゲン画像に骨の異常があるか、ということですが、「むち打ち症」に関しては、レントゲン画像による証明は困難です。
むち打ち症は、MRI画像で証明するのが、一般的です。
しかし、ただMRI画像を撮影するのでは、効率的とは言えません。重要なのは、以下の2点です。
- MRIの解像度(写りの良さ)
- MRIを撮影する部位
です。
MRIの解像度について
現在のMRIは、「0.5テスラ(解像度低い)」と「1.5テスラ(解像度が高い)」という、2つのレベルの解像度が主流となっています。
0.5テスラと1.5テスラとでは、「使い捨てカメラ(0.5テスラ)と高級一眼レフ(1.5テスラ)」の差があります。
このことからも、私は、1.5テスラ以上のMRI撮影設備を備えている、医大系の病院又はメディカルスキャニングなどでの、MRI撮影をご案内しています。
撮影する部位について
神経には、支配領域というものがありまして、ご相談者に出現している症状から、ある程度、頚椎の損傷部位を推測することができます。例えば、
「片手の親指、人差し指に痺れ・痛みがある」場合
頚椎C5・C6付近の椎間板の突出、その突出が周辺の神経根を圧迫している可能性があります。
「片手の薬指、小指に痺れ・痛みがある」場合
頚椎C6・C7付近の椎間板の突出、その突出が周辺の神経根を圧迫している可能性があります。
このように、ご相談者の自覚症状から、頚椎の損傷部位を推測することができ、MRI撮影の際には、私からお医者様に、推測される損傷部位を、入念に検査をしていただけるよう、ご説明させていただくこともあります。
神経学的所見について
画像所見が取得できない場合に、有用な所見です。
MRI画像に異常所見がなくても、この神経学的所見に異常があれば、後遺障害等級14級の認定の可能性は残されています。
主に、神経の異常やその神経異常に伴う筋力低下などを検査して、神経障害を医学的に説明します。
具体的に、どのような検査があり、なにを説明できるかを、一覧にまとめましたので、ご参考にしてください。
検査の種類 | テストの内容 | 評価方法 |
---|---|---|
スパーリングテスト | ・神経根の障害を調べるテストです。 ・患者は腰掛座位の姿勢で受診します。検査者は、患者の後方に位置し、患者の頸椎をやや伸展し、そのあと、斜め後方に側屈し、頭頂部に片手を置き、頸椎を下方に圧迫します。 ・神経根に障害があれば、その神経根の支配領域に、放散痛又は痺れ感が生じます。 |
異常有り=+ 異常なし=− |
ジャクソンテスト | ・神経根の障害を調べるテストです。 ・患者は腰掛座位の姿勢で受診します。検査者は、患者の後方に位置し、患者の頸椎をやや伸展位にして、前頭部に両手を置き、頚椎を後方に圧迫します。 ・神経根に障害があれば、その神経根の支配領域に、放散痛又は痺れ感が生じます。 |
異常がある=+ 異常がない=− |
筋萎縮検査 | ・筋肉の萎縮の有無及び程度を調べる検査です。 ・両腕のひじ関節の上下10cmのところの上腕部と前腕部の周径を計測します。 |
「cm」で表記します |
腱反射テスト | ・腱をゴムハンマーで叩き、筋に伸展刺激を与えたときに起こる、筋収縮を検査します。 ・上腕ニ頭筋(C5領域)・腕橈骨筋(C6領域)・上腕三頭筋(C7領域)について調べます。 |
・脊髄に異常がある場合 「亢進」「軽度亢進」を示します ・神経根に異常がある場合 「低下」「消失」を示します |
握力検査 | ・握力の検査をします。 ・左右の握力を検査します。 ・頚椎の神経に異常があれば、握力の低下が現れます。 |
「㎏」で表示します |
徒手筋力検査 | ・筋力の低下を検査します。 ・必ず両側を検査します。 ・神経障害があると、その神経が支配している筋力が低下します。 |
「5〜0」の数字で表記します 5が正常となります |
知覚検査 | 馬の毛などでできた筆などを利用して、皮膚の感覚の有無・程度を検査します。 | 「過敏・正常・鈍麻・消失」で評価します |
トレムナー反射 | 中指を伸展させておいて、指先の腹を弾くと、親指が内転します。 | 陽性の場合は、脊髄損傷が疑われます |
ホフマン反射 | 中指を挟んで指先を掌側に弾くと、親指が内転します。 | 陽性の場合は、脊髄損傷が疑われます |
ワルテルベルク徴候 | 人差し指、中指、薬指、小指を屈曲させ、検査者と引っ張り合いをさせると、親指が内転します。 | 陽性の場合は、脊髄損傷が疑われます |
以上が、基本的な神経学的検査です。
その他、サーモグラフィ検査、指尖容積脈波検査、針筋電図検査で、神経の支配領域の異常を説明する検査も、有効です。