後遺障害等級認定実例ー体幹骨

実例①

交通事故による骨盤骨骨折に伴う機能障害等で併合第9級の認定を勝ち取りました。

性別 男性(60代)
事故日 平成○○年2月
事故態様 バイクで直進中、左方から進入してきた右折自動車に衝突される。
診断名 左中足骨開放骨折、右寛骨臼骨折
症状 右股関節の痛み・可動域制限左足関節の疼痛・可動域制限など
通院先 (1)S大学病院
(2)M整形外科
治療期間・実通院日数 約1年6ヶ月
弊所への相談時期 本件事故から約3ヶ月後

争点

  1. お客様にご納得いただく治療期間を確保し、お客様は症状の改善に努めることができるか?
  2. 主治医先生の協力を得られるか?
  3. お客様の、希望の”高い”後遺障害等級を勝ち取れるか?

解決のポイント

本件は、弊所で、以前お手伝いさせていただいたお客様からのご紹介案件でした。

交通事故から約3ヶ月後に、ご相談及びご依頼をいただいたケースでした。

なお、本件事故のお客様は、主治医先生も驚く大事故・大怪我でした。

本件のご相談内容は、

  1. 交通事故賠償の流れそのものに関する不安
  2. 相手損害保険会社さんとの対応に関する不安
  3. 労災事故でもあるためその対応に関する不安
  4. 症状固定のタイミング・後遺障害等級認定の可否に関する不安

という、4点のご相談内容でした。

そのため初回面談の時には、

  1. 事故発生から治療開始、症状固定、そして示談までの全体像
  2. 弊所としては、事故が大きいだけに相手損保会社も早々に治療費の打ち切りはしてこないと想定してはしましたが、相手損保会社を刺激しないような対応の仕方のご提案
  3. 労災が絡む場合の交通事故賠償請求の仕方
  4. 症状固定については、ボルト等の除去など手術が完了した後がベストであること

をご提案し、お客様にも交通事故賠償の全体的な流れを把握していただき、かつ安心していただき、受任に至りました。

受任後、弊所からお客様には、通院について、

  1. S大学病院での定期診察
  2. 地元の整形外科でのリハビリ通院

という形での併用通院をご提案し、お客様には、ご協力いただくことで同意をいただきました。

そして、最初の医師面談を実施しまして、その内容としては、

  1. 診断名の確認
  2. 画像所見
  3. 画像所見から見た回復のレベル
  4. 症状固定の時期の目安

を聴取いたしました。

お客様の主治医先生及び手術チームはとても協力的で、治療終了(症状固定)まで、「2年」を要する旨の回答を相手損保会社にしていただいたおかげで、相手損保会社からの治療期間に関する問い合わせはなくなりました。

その後の弊所の動きとしては、大事故・大怪我であるため、”一桁”の後遺障害等級が妥当であると考え、S大学病院の診察時には、主治医先生に特に発言はしなくとも、同席するようにし、主治医先生に顔を覚えてもらうように努めました。

治療が進むにつれて、当初は杖をつきながら歩行していたお客様が、杖がなくなり、筋力が回復していく姿を拝見し、私としても、とても気持ちよく応援させていただきました。

つまり、後遺障害等級は、懸命に回復に向けて治療した延長線上であるということであると、改めて感じました。

その後は、特に、相手損保会社とのトラブルや労基署とのトラブルもなく、円滑に進行し、治療開始から1年6ヶ月の時点で症状固定のご判断をいただきました。

治療期間が予定の6ヶ月短縮できたのは、お客様の努力の成果であると思います。

そして、最終的な主治医面談を実施し、

  1. 後遺障害診断書作成のご依頼
  2. 後遺障害診断書の記載内容のご提案

をさせていただき、主治医先生には、快諾していただきました。

発言をしなくても、お客様の診察に同席したことによって、信頼関係の構築ができたと自負しています。

その後は、本件事故は労災適用のため、不足している診断書類を収集し、被害者請求を実施しました。

申請から1ヶ月後、右股関節の機能障害で第10級11号、左足関節の頑固な神経症状により第12級13号、併合第9級の認定を勝ち取りました。

弊所としても、お客様としても、一桁の後遺障害等級の認定が希望であったため、お客様にも喜んでいただき、うれしく思いました。

本件で学んだこと

  1. 大事故・大怪我であるからといって、必ず後遺障害等級が認定されるものではなく、当たり前のことを当たり前に遂行しないと非該当の可能性もあること
  2. 大学病院の定期診察のみでは、治療努力が足りないということで後遺障害等級非該当の可能性はあるため、地元の整形外科を併用で通院すること
  3. 主治医先生の協力を得られて、後遺障害等級は得られるので、しっかり挨拶から始まり、信頼関係を構築しておくこと

実例②

交通事故による骨盤骨骨折に伴う股関節機能障害により、10級11号が認定されました。

体幹骨の認定実例

性別 男性(50代)
事故日 平成○○年5月
事故態様 バイクで直進中、相手車がバイク走行車線進入のため車線変更をし、衝突した。
診断名 骨盤骨折、鎖骨骨折、肋骨骨折、肺挫傷など
症状 骨盤骨骨折に伴う股関節痛と可動域制限、肩関節可動域制限
通院先 (A)救急搬送された大学病院での定期診察および精密検査
(B)自宅近くの整形外科でのリハビリ通院
治療期間 約10ヶ月間
弊所への相談時期 事故から約6ヶ月後に正式受任

争点

  1. 後遺障害診断書作成依頼先である大学病院の協力を得ること
  2. 労災適用となっている場合の自賠責書式の診断書の収集
  3. 骨盤骨に伴う可動域制限・鎖骨骨折に伴う可動域制限の証明

解決のポイント

初めての面談の際は、肺挫傷・肋骨骨折による心肺機能の低下からか、お話の途中、息切れされていたのが、大変気になり、事故の大きさを痛感いたしました。

また、受傷部位が多かったため、どの部位にポイントを絞り、等級認定を勝ち取っていくべきかを十分に検討しました。

事故に遭いながらもお客様のフットワークは軽く、こちらの提案に対し、精力的に行動していただき、私自身心強く感じました。

後遺障害診断書の作成を依頼する医療機関が、大学病院のため、医師面談については、拒否されました。手術などでとても多忙な大学病院の医師と主治医面談は一般的に困難です。

そこで、弊所で提案書などを作成し、お客様から主治医先生に渡ししていただき、後遺障害診断の準備を始めました

後遺障害等級審査にあたり、上記、呼吸器の機能低下が懸念されたため、呼吸器外科にてスパイログラム血液ガス分析運動負荷試験を受診していただきました。

骨盤骨骨折鎖骨骨折については、

  1. 可動域制限があきらかであること
  2. XPにより骨損傷は明らかなこと

から、MRI撮影は保留とし、XP画像所見可動域検査を主たる他覚所見とすることを採用しました。

また、本件は労災適用のため、これまでの通院先から「自賠責書式診断書および診療報酬明細書(自賠調8号様式)」を添付する必要があるため、お客様に提案し、取得していただき、通院や診断名の連続性・一貫性を証明しました。

そして、症状固定時期となり、後遺障害診断書を主治医先生に作成していただきました。

最初の後遺障害診断書については、骨盤骨骨折に伴う股関節の可動域制限と鎖骨骨折に伴う肩関節の可動域制限の記載に不備があり、肋骨骨折に伴う呼吸器機能低下の検査所見に不備があり、修正依頼をしました。

修正依頼後の後遺障害診断書は、適確に修正がなされていたので、無事、後遺障害申請に入れました。

申請後も、相手自賠責会社や自賠責損害調査事務所からの追加提出書類などの要請はなく、滞りなく後遺障害審査が進み、申請から2ヶ月後、骨盤骨骨折に伴う股関節可動域制限で10級11号鎖骨骨折に伴う肩関節の可動域制限で12級6号併合9級という認定を得ました。

呼吸機能の低下について等級認定がなく、私としては申し訳ないと考えていたのですが、お客様への結果報告の際は、「想定している中で一番高い等級が認定されました」という言葉をいただき、私も大変うれしく思いました。

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