一部示談後、後遺障害等級申請(交通事故・自賠責保険)

通院慰謝料を先にもらい、後遺障害等級申請

弊所では推奨しておりませんし、実例としてみたことはありませんが、
(1)通院慰謝料などの傷害部分について先行して示談締結

(2)通院慰謝料の支払いを受ける

(3)後遺障害等級申請

(4)後遺障害等級が認定された際は、別途後遺障害部分の損害賠償請求

(5)後遺障害部分の損害賠償金の支払いを受ける
というのは、手続としてはできるようです。

示談書の記載に注意

(1)通院慰謝料を先行して支払ってもらい、

(2)その後、後遺障害等級申請をする場合は、
示談の締結内容に要注意です。

通常、示談をする際の記載として、
「本示談締結の当事者である、債権者(甲)及び債務者(乙)は、本示談締結後は、双方に一切の権利義務はないものとする」といった条項を盛り込んだ上で、示談をすることになります。

この一文がないと、示談締結後も、なにかといちゃもんをつけて請求できることになりますし、
請求には応じる義務が生じてしまいます。
債権者と債務者双方を守る一文でもあります。

しかし、通院慰謝料などの一部分を先行して示談をする際には、
後遺障害等級認定時には、後遺障害部分の損害賠償請求ができるよう、
「余白」を残しておく必要があります。

具体的には、
今後、自賠責保険の後遺障害等級申請後、認定に至った場合には、別途、後遺障害部分の損害賠償請求ができるものとする」などといった一文を記載しておくことが必須となります。

通院慰謝料を先行して示談する場合には、この一文の記載を慎重に確認した上で示談をしないと、
仮に、後遺障害等級の認定を得ても、損害賠償請求ができない可能性が高まります。

交通事故賠償問題には軍資金が必要

弊所がいつも考え、時に気持ちが暗くなることは、
交通事故賠償問題をしっかり整理しようとすると被害者側にお金が必要である、ということです。

例えば、被害者側が経済的に困窮している場合

(A)相手方損保会社が付いてない労災保険も使えないなど治療費の補償してくれるところがない時は、健康保険を使うことになりますが、3割負担も厳しいために、治療を諦めざるを得ない

(B)自賠責保険の被害者請求をする際は、
診断書や画像資料を、被害者のお金で取得することがあり
この診断書料金が用意できなければ、依頼を受けられない、被害者請求ができない

ということが想定できます。

そして、上記のように、通院慰謝料を先行して示談を希望する方は、
経済的に困窮している被害者であることが多いです。

つまり、一度、確定した間違いなくもらえる賠償金を先にもらって、
後遺障害等級申請のための軍資金を用意したい、ということになると思います。

交通事故の被害者であっても、「かわいそうな被害者でいるだけで賠償金が入ってくるわけではありません」。
被害者から賠償請求の声を上げて、行動を起こさなければなりません。
しかし、その行動を起こすためには、それなりのお金がなければ闘えません。

交通事故損害賠償請求の仕事には、このような酷な事実もあります。

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