交通事故による腰椎捻挫が認定されるための3つの要件
以下の症状が認められること
- ア 腰部痛
- イ 右足又は左足の痺れ
- ウ 右足指又は左足指の痺れ
- エ 足の筋力低下により、転倒しやすくなった、つまずきやすくなった
- オ 腰部痛のため、しゃがむことが難しくなった
- カ 腰部痛のため、寝返りが多くなり、寝れなくなった
- キ 起床時、腰の痛みのため起きるのがツラい
など
XP・MRI画像所見で認められること
特にMRI画像所見については、症状と整合性のある画像所見があれば、症状を他覚的かつ医学的に”証明”できる、とのことで、後遺障害等級第12級13号の認定の可能性が高まります。
具体的に神経学的に説明いたしますと、”左側”の殿部(お尻)からふくらはぎまでの痺れがある場合は、”S1・S2”という箇所に、左側にヘルニアを認める、というような画像所見です。
神経学的所見が認められること
特に腱反射所見が重要な所見です。
神経学的所見についても画像所見と同様、症状と整合性のある腱反射が認められると、後遺障害等級第12級13号の認定の可能性が高まります。
具体的には、”左側”の殿部(お尻)からふくらはぎまでの痺れがある場合は、”アキレス腱反射”に、低下または消失という所見が認める、という神経学的所見です。
腰椎捻挫の後遺障害等級
等級 | 障害内容 | 自賠責保険金額 |
---|---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 224万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 75万円 |
腰椎捻挫の神経学的所見一覧
MRI画像に異常所見がなくても、この神経学的所見に、特に、SLRテスト、FNSテストに陽性反応があれば、後遺障害等級第14級9号の認定の可能性は残されています。
神経の異常やその神経異常に伴う筋力低下などを検査して、神経障害を医学的に説明します。
主な検査を一覧にまとめましたので、ご参考にしてください。
検査の種類 | テストの内容 | 評価方法 |
---|---|---|
SLRテスト |
・神経根の障害を調べるテストです。 ・下肢伸展挙上テストのことです。 このテストは、坐骨神経とL5、S1、S2レベルの神経根を伸展します。股関節屈曲70°〜90°の間でこれらの神経は完全に伸展します。 ・神経根に障害があれば、その神経根の支配領域に、放散痛又は痺れ感が生じます。 |
35°〜70°で痛み=椎間板病変による坐骨神経障害 |
FNSテスト | ・神経根の障害を調べるテストです。 ・検査側を上にして患者を側臥位とします。患者に反対側の股間節・膝関節を軽度屈曲するように指示します。そして、検査肢を持ち膝関節伸展位で股関節を15°進展させます。次に、大腿神経がさらに伸びるように膝関節を屈曲させます。 ・腰髄神L1.2.3の神経障害を調べる検査です。 |
異常がある=+ 異常がない=− |
筋萎縮検査 | ・筋肉の萎縮の有無及び程度を調べる検査です。 ・膝関節の上下10cmのところの、両側大腿周径と下腿周径を計測します。 |
「cm」で表記します |
腱反射テスト | ・腱をゴムハンマーで叩き、筋に伸展刺激を与えたときに起こる、筋収縮を検査します。 ・膝蓋腱反射(L4領域)とアキレス腱反射(S1領域)について調べます。 |
・脊髄に異常がある場合 「亢進」「軽度亢進」を示します ・神経根に異常がある場合 「低下」「消失」を示します |
徒手筋力検査 | ・筋力の低下を検査します。 ・神経障害があると、その神経が支配している筋力が低下します。 ・腸腰筋・大腿四頭筋・膝部のハムストリングス・下腿三頭筋・長母趾伸筋・前脛骨筋の両側を検査します。 |
「5〜0」の数字で表記します 5が正常となります |
知覚検査 | 馬の毛などでできた筆などを利用して、皮膚の感覚の有無・程度を検査します。 | 「過敏・正常・鈍麻・消失」で評価します |
以上が、主な神経学的検査です。