後遺障害等級認定申請はいつからできますか?
結論:基本的に事故から6ヶ月以上経過後です。
基本的には、というのがポイントで、弊所で多くお手伝いしている「むちうち」、その他、鎖骨骨折、肩部打撲、腰椎捻挫、膝打撲など一般的な怪我に関しては、事故から6ヶ月と考えてください。
以前、弊所で骨盤骨折を数件お手伝いいたしましたが、骨盤骨折後は、事故から1年から1年6ヶ月を経過した後に、症状固定として申請をすることが最善かと考えます。
そして、むちうちと同様「見えない後遺障害」である高次脳機能障害は、
A.事故から1年経過後
または
B.治療開始から1年経過後
に症状固定とします。
この症状固定日の設定を間違えると、認定される案件でも認定されません。
例えば、事故から5ヶ月ほどで症状固定とした事案では、初回申請は当然「非該当」で、そこから何度異議申立をしても「非該当」から14級への変更認定はありません。
それだけ、最初の症状固定日の設定が重要であるということです。
後遺障害等級認定を得られるポイントはありますか?
結論:6ヶ月以上の通院期間と週3回程度の整形外科での定期診察&リハビリです。
弊所の主たるご依頼者である「むちうち」で後遺障害等級が認定された事案をみますと、
- 6ヶ月以上の通院
- 整形外科に、
- 週3回以上
という3つが「認定のための土台」になります。
ご相談者のなかには、「ヘルニアがMRIに写っているとお医者様が言ってましたよ」「スパーリングテスト陽性って書いてありますよ」と主張される方がいらっしゃいます。
このいわゆる医学的所見は、上述の「認定のための土台」があってこその武器です。
いくら症状がつらくても、
いくらMRIにヘルニアが写っていても、
6ヶ月以上、整形外科に、週3回以上リハビリをして、身体を治すための努力をすることです。
後遺障害等級認定は、この身体を治すための努力をした延長線上に、後遺障害等級を認定があるということを忘れないでください。
後遺障害等級認定は申請すれば必ず得られますか?
結論:必ず認定されるという保証はありません。
むちうちは、年々後遺障害等級認定のハードルは上がっているように感じます。
しかし、これはむちうちに限りません。
例えば、大腿骨開放骨折(※骨折した際に皮膚が破れて、骨が外に露出する状態)を受傷したご依頼者でも、後遺障害等級が認定されないことはあります。このケースは、
- 医療機関側の通院等の指示に全部従ってしまった
- ご依頼者自身がその怪我の大きさから後遺障害等級認定は確実と思い込んでしまった
など、「闘い方」を間違えてしまったことが要因と考えています。
また、受任した側(行政書士・弁護士)が、
- 症状固定日の設定を間違えてしまう
- ご依頼者の症状の聴き取りが甘く高次脳機能障害由来の症状を見落としたことによって、後遺障害等級申請・認定を得ることができなかった
という人為的なミスの実例もあります。
上肢または下肢切断は別ですが、その他の怪我に関しては、必ず後遺障害等級認定がされる怪我はないと思ってください。
後遺障害等級認定はどのくらいで結果が届きますか?
結論:初回申請であれば1ヶ月~1ヶ月半程度、異議申立申請であれば3ヶ月程度が標準的な審査期間であると考えます。
ただ、新型コロナ禍を影響とするリモートワークの増加により、申請から審査結果通知までの時間が長くなったと思います。
そして、異議申立申請後は、必ずといっていいほど、「医療照会」が入ります。
この医療照会は、自賠責損害調査事務所(後遺障害審査機関)から本件で通院したすべての医療機関に対して行われるものです。街のクリニックは比較的回答が早いですが、大学病院や公的病院などの規模が大きい病院は回答に2ヶ月程度かかることもあります。
そのため、異議申立申請に関しては、申請から審査結果通知まで多くの時間を要することになります。
なお、この「医療照会」は稀に初回申請から行われることもあります。典型例としては、本件事故以前の同一部位の治療歴がある、むちうち事案で12級の要素が強い、などが考えられます。
後遺障害等級認定を得るためには接骨院への通院はカウントされますか?
結論:通院日数にカウントされます。
実際、整形外科と接骨院に併用通院していたご依頼者もむちうちで14級認定を得ております。
そして、後遺障害等級認定票(認定の理由書)にも、接骨院の所見が採用されることもありますので、接骨院の通院も有効かと思います。
ただ、やはり整形外科を主軸に通院することが最善かと思います。
お仕事や学業等で時間の制約がある方には、「整形外科週2回、接骨院週2回」など提案をすることがあります。
これは余談ですが、弊所が創業した2011年頃は、接骨院の通院回数も重要だった時期がありました。
そのケースは、市民病院の整形外科月1回、接骨院月13回程度、初回申請後、医療照会が行われ、腰椎部12級の結果となりました。
いまでは考えられないケースです。
決して、参考にしないでください。