後遺障害等級認定実例ー手関節

実例①

交通事故による左母指挫傷を受傷し、第14級9号の認定を勝ち取りました。

性別 男性(60代)
事故日 平成○○年10月
事故態様 自動車を運転中、対向自動車に正面衝突をされた。
診断名 頚椎挫傷・腰椎挫傷、左母指挫傷(左母指末節骨骨折)など
症状 頚椎捻挫由来:頚部痛、左上肢の神経症状など左母指挫傷由来:左母指の痛み、可動域制限(用廃レベル)など
通院先 (1)K病院
(2)T病院
(3)K整形外科
治療期間・実通院日数 約8ヶ月間・170日程度
弊所への依頼時期 本件事故から約7ヶ月後

争点

  1. 異議申立により、左母指の症状について、第14級、第12級又は10級への変更認定を勝ち取れるか?
  2. 異議申立に際し、主治医先生の協力を得られるか?
  3. どのように診断を再評価していただくか?

解決のポイント

ポイント①

本件事故のお客様は、弊所でお世話になっている弁護士先生からのご紹介をいただきました案件です。初回の面談時には、頚椎挫傷・腰椎挫傷の症状よりも、左母指の痛みと可動域制限を、主に愁訴しておりました。

理由としては、お客様のご職業柄、手指を精密に動かす必要性のお仕事のため、手指の可動域制限は、死活問題であり、より高い後遺障害等級の認定をご希望でした。

ポイント②

本件の争点は、

  1. 本件事故直後(第一次診)の病院では、左母指に関する診断がなされていない
  2. 第二次診から症状固定時の医療機関では、左母指末節骨骨折の診断名を得ている

とのことで、後遺障害等級認定に必要な、”連続性・一貫性”に欠けていました。

ポイント③

しかしながら、まずは、この状況下で、症状固定時の主治医先生に、左母指の可動域制限をアピールした、後遺障害診断書を作成していただき、初回の被害者請求をいたしました。

結果としては、頚椎部について第14級9号の認定を得ており、左母指部については”非該当”の結果でした。

ポイント④

そこで、お客様のご希望から、異議申立をすることにし、後遺障害等級の認定に必要な”連続性・一貫性”を主張するため、第一次診の主治医先生に現在の状況、症状や第二次診以降の診断を説明し、診断書の再作成をお願いしました。

結果として、左母指に関する診断名をいただきましたが、第一次診の主治医先生の診断書は、”挫傷”に留まり、”骨折”の所見をいただくことはできませんでした。

ポイント⑤

(4)で得た診断書を新たな医学的所見として、本件事故により左母指を受傷したという連続性・一貫性を証明しつつ、後遺障害診断書から、左母指は”用廃”している旨を主張しました。

この際、労災補償障害認定必携の後遺障害等級認定基準を一つ一つ丁寧に証明しました。

結論

異議申立を実施し、結果としては、左母指の症状についても、非該当から第14級9号への変更認定を得ました。

お客様にも今回の異議申立の結果を説明したところ、左母指についても後遺障害等級として認定を得ることができたため、今後の示談交渉に有利な材料を得たと考えていただけたようで、後遺障害等級は、頚椎部第14級9号、左母指部第14級9号の併合14級でご納得いただきました。

本件の後遺障害等級認定の要因としては、

第一次診から症状固定時までの、すべての主治医先生にご協力をいただけたため、左母指部の症状の”連続性・一貫性”の証明を得られたことに尽きると思います。

実例②

交通事故により左小指開放骨折を受傷し、第13級6号を勝ち取りました。

性別 女性(40代)
事故日 平成○○年3月
事故態様 自動車で交差点内を直進中、右方からの直進自動車と出合い頭衝突をした。
診断名 左手小指開放骨折など
症状 左手小指の痛み、可動域制限
通院先 (1)B病院
(2)M整骨院
治療期間・実通院日数 約9ヶ月間
弊所への依頼時期 本件事故から約7ヶ月後

争点

  1. 主治医先生の協力を得られるか?
  2. 左手指の可動域制限を立証できるか?

解決のポイント

ポイント①

本件事故のお客様は、弊所でお世話になっている弁護士先生からのご紹介をいただきました案件です。

当初の相談において、左手小指の可動域制限をいかに立証し、可能な限り高い後遺障害等級の認定を得られるか、という点でした。

ポイント②

弊所で受任後、速やかに医師面談を実施し、弊所と医師との関係構築を開始いたしました。最初の医師面談では、

  1. ご挨拶
  2. 症状固定の見込み
  3. 後遺障害診断書の作成のご協力依頼

をいたしました。

最初の医師面談での完全な関係構築は難しいものですが、現在の状況やお客様の希望を正直に伝え、主治医先生から弊所への印象を良くすることに努めました。

ポイント③

そして、症状固定日に、改めてお客様の診察に同席し、最終的な後遺障害診断書の作成依頼をいたしました。本ケースの弊所から主治医先生への後遺障害診断書の記載のご提案内容は、

  1. 受傷直後の画像所見
  2. 症状固定時の画像所見
  3. 可動域制限の記載

の3点でした。

結論

被害者請求から約1ヶ月後、左手小指開放骨折由来の症状である左手小指可動域制限(用廃)に該当し、第13級6号の認定を勝ち取りました。

本件の後遺障害等級認定の要因としては、

  1. 後遺障害等級については行政書士へ、交渉事案については弁護士へ相談を行ったこと
  2. 主治医先生の丁寧な後遺障害診断を受けられたこと
  3. 左手小指の可動域制限については、”しつこい”ぐらいに詳細な検査値記載を依頼し、主治医先生に記載をいただけたこと

この3点かと考えます。

後遺障害等級通知書

実例③

交通事故によるTFCC損傷等を受傷し、併合12級勝ち取りました。

性別 男性(40代)
事故日 平成○○年6月
事故態様 バイクで直進中に、左方から進入してきた自動車と側面衝突した。
診断名 左上腕骨大結節骨折、左肩腱板損傷、右手TFCC損傷など
症状 左肩痛、左肩可動域制限、右手の痛み、巧緻性障害など
通院先 (1)Y総合病院
(2)W整形外科
(3)F整形外科
(4)T整形外科
(5)M整骨院
(6)A整形外科
治療期間・実通院日数 約1年間
弊所への依頼時期 本件事故から約6ヶ月後

争点

  1. 治療費の打ち切り決定後から、お客様の症状を裏付ける医学的所見をどこまで取得できるか?
  2. 左肩・右手関節のいずれを重点的に後遺障害申請部位とするか?
  3. 症状固定後の転院・医学的所見について後遺障害等級の評価にどのような影響を与えることができるか?

解決のポイント

ポイント①

本件事故のお客様は、相手損保会社さんからの治療費の打ち切りの決定通知後でした。

したがって、初回申請についてお手伝いできることは、”主治医先生にいかに後遺障害診断書をきれいに記載いただく”か、という点に絞られました。

ポイント②

初回申請の際に、添付した後遺障害診断書については、左肩部の損傷を、画像所見、整形外科的テスト及び可動域検査で丁寧に立証されていたため、後遺障害等級認定の要素はありましたが、非該当の結果となりました。

ポイント③

非該当の結果通知後、速やかに、弊所でお世話になっている整形外科へ転院し、左肩部と右手関節部のMRI画像所見の撮影をし、医学的所見を一から収集し直しました。

そうしたところ、前医では、”症状から推測に留まった”、TFCC損傷が、”MRI画像上から医学的所見として明らかに立証”を得ることができました。
しかし、症状固定後の、MRI画像所見である点が、弊所としては、懸念事項でした。

ポイント④

その後、お客様には、転院先に、約3ヶ月程度通院していただきました。

理由としては、後遺障害審査は、後遺障害等級を受ける前に、治療し、治す努力をしたことをアピールすることも重要な要素であると考えるからです。

したがって、弊所では、転院した際には、約3〜6ヶ月の通院をしていただくことが多いです。

ポイント⑤

約3ヶ月の通院後は、主治医先生に、改めて後遺障害診断書を作成いただきました。

ポイントは、左肩部と右手部の症状を、医学的かつ他覚的に再評価していただきました。

つまり、

(A)左肩のMRI画像所見・ドロップアームテストを含む整形外科的テスト・左肩可動域検査
(B)右手首のMRI画像所見・他医療機関の右手首検査報告書・可動域検査

と画像所見を基礎として後遺障害診断書に記載いただきました。

結論

異議申立申請から約2ヶ月後、右手首のTFCC損傷について第12級13号及び左肩関節の症状について第14級9号の併合第12級の認定を得ました。

弊所の提案に、根気よく対応いただいたお客様には、弊所として、本当に感謝申し上げます。

また、弊所が2016年多かったケースは、”非該当から12級”への変更認定を勝ち取るという案件をお手伝いすることができて本当に光栄な一年でした。

そして、症状固定後であっても、現在の医療機関の対応に不満があれば、転院をし、そして、画像所見を撮り直し、医学的所見をしっかりと集めれば、後遺障害審査の評価材料になるという貴重な経験をいただきました。

異議申し立ての後遺障害等級通知書

実例④

交通事故による左橈骨遠位端骨折について、10級10号が認定されました。

手関節の認定実例

性別 男性(50代)
事故日 平成○○年3月
事故態様 バイクで直進中、左方から進入してきた自動車に衝突された。
診断名 左橈骨遠位端骨折
症状 左手関節運動痛など
通院先 M病院(計約200回)
治療期間 約1年3ヶ月間
弊所への相談時期 事故から1年1ヶ月後

争点

  1. 手術により骨癒合が保たれてる状態で後遺障害等級が認定されるか?
  2. 主治医先生の協力を得られるか否か

解決のポイント

本ケースは、お客様が、弊所のホームページをご覧になり、ご相談をいただきました。

弊所ホームページ後遺障害等級認定実績の中に、手関節の橈骨遠位端骨折をご紹介していたので、それが相談・依頼の決め手となったようでした。

ご相談時には、プレートの除去手術が完了しており、残るは、後遺障害診断書および被害者請求という状況でした。

お客様の不安としては、

  1. 初めての交通事故でどういう行動をすればよいか
  2. 後遺障害等級10級又は12級の認定は可能なのか

という2点が主なご質問でした。

弊所からお客様には、

  1. 弊所から相手損保会社に案内書を送付し、依頼を受けた旨を通知すること
  2. プレートの除去後に症状固定及び後遺障害診断をするのが最善であること
  3. リハビリは継続し、症状固定に至る前に、治そうと努力したことを証明するため通院日数を重ねること
  4. 診断名及び自覚症状から判断すると等級認定の可能性はあること

の4点をご提案いたしました。

特に(3)のリハビリの継続に関しては、主治医先生やリハビリの先生からは、「手術して骨癒合は改善しているのに、まだリハビリをするの?」という態度をとられていた中で、お客様には、忍耐強く、通院を継続していただきました。

弊所は、正式受任後、主治医面談を実施し、

  1. 依頼を受けた旨のご挨拶
  2. 左手関節の状態を事故時・手術後・プレート除去後にわけてXP画像・MRI画像をもとに聴取
  3. 症状固定までの流れ
  4. 後遺障害診断書の作成依頼

をご案内させていただきました。

その後、お客様には、プレート除去手術後、約2ヶ月間のリハビリを継続していただき、実通院日数を重ねていただきました。

それと並行して、弊所は、最終的な医師面談を実施し、

  1. 後遺障害診断書の作成依頼
  2. 後遺障害診断書の記載例のご提案

をさせていただきました。

(2)の後遺障害診断書の記載例については、

(ア)画像所見

事故直後の手関節の骨折の状態を詳細に記載していただきました。

骨癒合が保たれていたため、あえて事故時の骨折状態を記載していただくことによって、重症度の高い怪我をしたことをアピールしました

(イ)神経学的所見

(ウ)手関節可動域検査

を主治医先生にご提案させていただき、快諾していただきました。

完成した後遺障害診断書は、”ほぼ”弊所から提案させていただいた内容に沿って記載していただき、修正依頼をすることなく、自信を持って取得いたしました。

その後、お客様と最終的なお打ち合わせをし、被害者請求をいたしました。

被害者請求から約1ヶ月後、無事、後遺障害等級10級10号の認定を受けました。

お客様も希望していた後遺障害等級だったようで、喜んでいただきました。

弊所としても、とても安心しました。

本ケースで学んだこと

  1. 手術をし、骨癒合が完全であっても、後遺障害等級の認定は可能性として高いこと
  2. 後遺障害診断書には、重症度の高い傷病名から優先的に、詳細な医学的所見を記載していただくこと
  3. 後遺障害診断書の記載例の提案の仕方を工夫すれば、医師も協力的になってくれること

実例⑤

交通事故により橈骨遠位端骨折を受傷し12級6号認定後、異議申立てにより10級10号に等級変更得ました。

交通事故の態様

バイクで直進中、対向原動機付自転車との右直事故

認定のポイント

お客様の熱意、弊所連携の整形外科医師の協力

詳細

受傷後、約1年7ヶ月後に受任しました。

本件の相手方は、自賠責は加入していましたが、任意保険未加入のため、お客様の希望で、まずは自賠責から最大限の補償を受けたいとのご希望でした。

面談時には、すでに12級6号が認定されていましたが、右手関節の1/2以下の可動域制限は明らかでした。12級6号が認定された後遺障害診断書の可動域検査は、簡略した記載のみで、他動か自動かも不明でした。

お客様には、異議申立てによって、等級が必ず変更されるものではない旨を説明し、異議申立て案件として受任しました。

早速、弊所連携の手関節専門の整形外科に転院、診察とリハビリを開始しました。

最初の異議申し立てで変更認定を勝ち取ることが重要と考えたため、手関節鏡検査によって、右手関節の状態を他覚的に証明することの重要性をお客様に説明し、市立病院で受診していただいたところ、TFCC損傷尺骨頭露出変形治癒を証明できました。

また、弊所連携の整形外科には、レントゲン画像にて、右手関節損傷による傾きを角度計を用いて、画像上に出力していただき、可動域検査による1/2以下を証明するだけでなく、レントゲン画像による右橈骨の短縮、関節面の不整と角度異常を他覚的証明ができました。

さらに、異議申立書作成の際は、『労災補償障害認定必携』を詳細に読み込み、前回12級6号認定理由に対し、一つ一つ反証をしていき、お客様の右手関節の障害は、12級に留まるものではないことを論理的に証明できました。

そして、無事10級10号への変更認定を勝ち取りました。

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