後遺障害等級結果に納得できない方へ

1.等級結果に不服がある場合の異議申立てのポイント

後遺障害等級申請書類を、相手方加入の自賠責保険会社に提出後、書類に不備がなければ、申請から1ヶ月~1ヶ月半ほどで結果通知が届きます。

この等級結果に対して、不服がある場合には、相手方加入自賠責会社に異議申立てができます。

この異議申立てには、ポイントがあります。ここでは、むちうちのケースを想定して、ご案内いたしますが、他の怪我に関しても共通するポイントです。

具体的には、症状固定後も通院を継続していること、重要なポイントで、これだけと言っても過言ではありません。

では、なぜ、症状固定後も通院を継続しておくことが重要かと申しますと、自賠責保険の後遺障害等級認定の審査実務上、「一貫性」をとても重視します。そして、それは、

  1. 症状の一貫性
  2. 通院の一貫性
  3. 所見の一貫性

の3つです。

(1)症状の一貫性について

むちうちの場合、首の痛みというのは、典型的な症状ですので、ばらつきは出ませんが、「痺れ」については注意しなければなりません。

むちうち受傷後、初診時は「右手」の痺れだったのが、治療継続期間中から症状固定日にかけて、「左手」の痺れと症状が変わることがあります。これは、ご依頼者の症状なので、だれも責めることはできません。

しかし、後遺障害等級認定実務上、自賠責側が重視する「一貫性」からは外れてしまうことになります。

したがって、ご依頼者の症状は、定期的に確認することが重要ですし、ご依頼者自身も、「症状ノート」を作って、症状の変化については、メモしておくと有効かと思います。

(2)通院の一貫性について

ご依頼者によっては、症状固定後は、健康保険に切り替えても、窓口負担が発生するから、通院をやめてしまう方がいらっしゃいます。しかし、通院は継続しておきましょう。

症状固定日に、通院をやめてしまうと、通院を継続していた証明ができなくなり、極論ですが、

「症状固定日に全部症状が治った」という見方をされてしまいます。

弊所が異議申立てをする場合、ご依頼者には、

  • 症状固定後も週1回、最低でも二週間に1回は通院を継続しておくこと
  • 領収証は大切に保管しておくこと

の2点をご案内します。

※この案内をするかしないかも交通事故専門であるかの見極め所かと思います。この症状固定後のフォローはしなかったために異議申立てを断念したご依頼者も数多くいらっしゃいます。

ご依頼者に通院を継続していただくことによって、症状固定後も通院していたことを証明する診断書を取得することができ、この診断書によって、(1)症状の一貫性と(2)通院の一貫性を証明することができ、自賠責保険の後遺障害等級認定実務上の、「一貫性」を満たすことになります。

(3)所見の一貫性ついて

ここが、一番やっかいなポイントです。

むちうちで12級認定を勝ち取るための一番高いハードルともいえます。

むちうちで12級認定に至るには、神経学的所見のなかの「腱反射所見」が重要です。

ただ、この腱反射所見は、救急搬送先の医療機関では腱反射を診ないこともあり、書類上は、「未施行」や診ていないのに「所見なし」と医療照会文書に回答されることがあります。

ここで、一貫性が消滅してしまいます。

自賠責側は、所見に至るまで、「初診時から終診時まで」厳密な「一貫性」を求めます。

具体的には、救急搬送先で応急処置を終えた後の翌日からは、懇意にしている整形外科に転院し、6ヶ月間の診療のなかで、ここの整形外科では腱反射所見が一貫して「陽性(つまり異常)」だったとします。

しかし、初診の救急搬送先医療機関では、腱反射所見「未施行」または「所見なし」となるため、一貫性がないとして、14級認定が限界か、非該当という結論になることが多いです。

わかりやすくまとめますと、

(A)14級→12級への変更認定

⇒腱反射所見の一貫性の証明がとれないため困難

※ 初診から症状固定まで同じ医療機関・整形外科であれば、14級→12級変更認定の可能性は高くなると考えます。

(B)非該当→14級への変更認定

⇒症状と通院の一貫性で補えるので自信あり

というのが、実情です。

こういった実情もありますので、弊所は、

【非該当→14級へ変更認定】

という変更認定パターンを得意、強みにしております。

2.異議申立ての流れ

ご依頼者ごとにケースバイケースとなりますが、

【A.転院をする場合】

【B.転院をしない場合】

の2つパターンで、標準的な異議申立ての流れとポイントをご紹介します。

A.転院をする場合

  1. 症状固定後もご依頼者には通院を継続していただく
  2. 初回申請の結果に対して、異議申立てを決める
  3. 弊所が正式受任後、整形外科の紹介
  4. 初診後、3ヶ月以上、週1~2回の頻度で診察・リハビリ
  5. 必要であればMRI撮影(メディカルスキャニングがおすすめです)
  6. 3ヶ月以上経過後、第2回目症状固定・後遺障害診断書作成
  7. 異議申立て申請
  8. 本件事故で通院したすべての医療機関に医療照会
  9. 結果通知

の流れが一般的です。

転院をする場合のポイント

転院をする場合、それまで通院していた医療機関の主治医先生やスタッフへのご挨拶や御礼を忘れないことも大きなポイントです。

後遺障害等級認定を勝ち取るか否かは、医師の協力が必須です。

転院するにあたって、医師と喧嘩別れするのは、言語道断です。

B.転院をしない場合

  1. 症状固定後もご依頼者には通院を継続していただく
  2. 初回申請の結果に対して、異議申立てを決める
  3. ご依頼者、弊所、主治医先生と異議申立の方針を決める
  4. 必要であればMRI撮影(メディカルスキャニングがおすすめです)
  5. 第2回目症状固定・後遺障害診断書作成
  6. 異議申立て申請
  7. 本件事故で通院したすべての医療機関に医療照会
  8. 結果通知

の流れが一般的です。

転院をしない場合のポイント

転院をしない場合は、2つのパターンが想定できます。

具体的には、

  1. 弊所が早い段階からサポートを開始しているご依頼者
  2. 「異議申立てから弊所が受任しサポート開始であるが、ご依頼者の主治医先生が協力的で転院の必要がない」

というケースが考えられます。

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